気にしてますか?仕事中の姿勢 〜簡単腰痛予防〜
●気にしてますか?仕事中の姿勢 〜簡単腰痛予防〜
朝晩がだいぶ涼しく感じられ、秋の気配が近づいてきました。
本日は、姿勢と腰痛の関係について、お伝えします。
腰痛は、人類が進化の過程で4足歩行から2足歩行になり、足だけで体を支えるようになったために起こる、いわば二足歩行の宿命的な疾患です。
生涯のうちで約8割の人々が腰痛になるといわれており、また再発率も高い疾患です。
日本では、高度経済成長期の肉体労働者を中心に腰痛が蔓延していましたが、近年は、仕事の質の変化に伴い、オフィスワーカーでも慢性腰痛を訴える方が多くなっています。
腰痛に困って当院にいらっしゃる方も、肉体労働メインの方よりもオフィスワークで座りっぱなしの時間が長い方が多いです。
このように、腰痛は非常に古く、また、新しい問題であるといえます。
あなたは、仕事をしている時、どんな姿勢が多いですか?
立ち仕事、座り仕事、介助をする、かがんで作業する、物を持ち上げることが多い作業など…。様々な姿勢で、お仕事をしていると思います。
仕事の内容や、そのときの姿勢によって、多かれ少なかれ腰へ負担がかかっていることをご存知ですか?
座り姿勢が多いオフィスワークだからといって、腰への負担が小さい訳ではありません。むしろ、動きのある仕事より腰にかかる負担は大きいのです。
こちらのグラフを見てください。立った状態と比べて、姿勢良く座っていても1.4倍、PC作業などの前傾姿勢では1.8倍も腰への負担は高くなります。
(グラフはお借りしました)
座りっぱなしや、立ちっぱなしなど、動きの少ない姿勢が長時間持続することによって、筋肉が固まり、血管を圧迫し、血流が悪くなり、筋肉疲労や腰痛を起こしやすくなります。
対して、重量物を取り扱う仕事が多い方や、介護などで人を抱え上げる仕事などは、動き方や抱え上げることによる腰への負担が大きいですね。(立った状態の2.75倍!)
こういった作業が多い方は、繰り返す過度な筋収縮や関節の動きが筋肉、関節、腱などに過度な負荷を加えているため、体の使い方が良くなかったり、疲労が溜まっていると、ぎっくり腰などの急激な痛みを生じる原因となります。
腰痛は前述したような物理的な負担のみで起こるものではありません。
近年、肩こりや腰痛を発生させうる重要な要因として、心の問題が話題となっています。
国内の研究では、“仕事の量や質”、“職場での対人関係ストレス”、労働者が感じる“働き甲斐”や“裁量権”などが、身体的な痛み症状となって現れるといった報告が発表されています。
また、脳科学研究の分野では、いわゆるストレスが「脳機能の不具合」を引き起こし、痛みを長引かせる(慢性化させる)ということがわかっています。
最も効果的で実施しやすい対策は、体操を始めることです。
仕事の姿勢や負担に応じて効果に違いがあるものの、手軽に、いつでも、一人でも実施できます。
例えばオフィスワーカーの方は座り姿勢が続くことで、筋肉への刺激量が少ないと考えます。このため、お腹や腰周りの筋肉が弱りやすく、筋疲労が起きやすいのです。この場合であれば、お腹や腰周りの筋肉を刺激するような簡単な体操を、仕事の合間に行うことで腰痛予防に効果的です。
また、重量物取扱いなどの仕事が多い方は、筋肉や関節に過度な負担がかかっていることが多いため、持続的に筋肉を引き伸ばす体操(ストレッチ)が適しています。
さらに、股関節の筋力と腰痛には深い関係があるので、オフィスワーク、体を使う仕事の有無に関わらず、シコ踏みやクロスポイントワークなどの股関節の筋機能を向上させる運動は非常に有効です。是非、仕事の合間に取り入れてみてください。
私が、腰痛予防で仕事の合間に行う事をオススメしている運動の動画はこちらです。どちらの運動も1分もかかりません。
・股関節のクロスポイントワーク
・みぞおちのクロスポイントワーク
オフィスワーカーの方は、同じ姿勢でじっとしていると、座り心地が悪くなり、ついつい座りなおしたり、ちょっと動いたりしてしまいませんか?実は、これは正常な証拠です。
人の体の構造は、元来、長時間同じ姿勢を続けるようにはできていません。そのため、集中しすぎて、全く動かず、座って仕事をつづけることが危険だと体が判断して座るポジションを変えているのです。
このことから、仕事中の作業姿勢を意図して変更することも重要だといえます。
例えば、パソコン入力業務を、座りっぱなしでなく、立って作業をすることもできるように、可変式のデスクを据え置き、定期的に座りと立ちを繰り返すようにする。逆に、立ち作業が多ければ、座って作業ができるようにするなど、職場のレイアウトについて工夫することも腰痛予防につながります。
また、椅子の代わりにバランスボールを使う事でも腰痛予防になります。(この方法は、体幹の筋トレとバランス感覚UPの両方が出来るので、とてもオススメしています)
参考までに、バランスボールの選び方を書いておきます。
基本的には、バランスボールに座った時に、膝が90度になるサイズを目安に選びましょう。※バランスボールは、空気の入れる量によって好みの硬さ、大きさに調整できます。
ザックリのボールサイズと適用身長
・45cm 適用身長155cm以下
・55cm 適用身長150−170cm
・65cm 適用身長165−185cm
・75cm 適用身長180cm以上
今回は仕事の合間に取り入れることのできる簡単な腰痛の予防法を紹介しました。
もし、何かしらの体操を仕事の合間に取り入れようと思ったので有れば、まず簡単にできる事をやってみて下さい。検証期間は1週間がオススメです。
自分でやってみて、あまり効果が出ないなど、一人だけでは悩みを解決できない場合は、姿勢や動作に詳しい専門家に相談してみるのもオススメです。
特に、40代を超えている方で腰、膝、足などに持病や痛みを抱えている方は、かかりつけ医や姿勢や動作に詳しい専門家とよく相談して、無理のない範囲で体操を取り入れて下さい。
また、職場改善としてレイアウトの工夫や、作業姿勢を適宜変えるようなレイアウトにすることも有効な手段の一つです。
仕事中にこまめに姿勢を変えたり(1時間に1回、5分程度はデスクを離れるなど)、身の回りの整理、整頓を心がけることによって、同じ姿勢を続けない、無理な姿勢を少なくするといった、小さな努力の積み重ねで、腰痛を起こしにくい環境を作ることができます。是非、やってみてくださいね。