「痛風」を予防する5つの対策。プリン体より要注意の意外な原因とは?

秋も深まり、食欲も出てくる季節です。結構勘違いが多い、痛風とプリン体の関係についてまとめました。

健康診断などで、高尿酸血症という診断が出た方は、しっかりと理解して改善するきっかけになればと思います。

(写真はイメージです)

そもそも「痛風」とは?

痛風は体内の尿酸が増えて起こる疾患です。通常、体の中に増えた尿酸は尿として排泄され、一定量に保たれています。

正常範囲は、7.0mg/d L以下です。高尿酸血症は、痛風予備軍とも考えられる状態です。特に、血中尿酸濃度が9.0mg/dL以上では痛風発作になりやすいので、下げる努力をしましょう。

(高尿酸血症の基準値:表はお借りしました)

体質、年齢、性別、生活習慣、ストレスなど様々な要因で、増え過ぎた尿酸が結晶化してしまうと、関節や腎臓で炎症を起こします。この痛みが「痛風発作」といわれる症状です。

男性の方が体内の尿酸量が多く、女性ホルモンには尿酸を排泄する働きがあるため、男性の方がかかりやすい疾患ではあります。

世間的にも、男性に多い疾患と思われがちですが、近年では食の欧米化や生活習慣の乱れにより、女性の痛風患者も増えてきているようです。遺伝性もあり、血縁者に痛風の人がいる方も注意が必要です。

痛風が恐ろしいのは、高い確率で尿路結石や腎障害、高血圧、肥満、高脂血症などにつながってしまうこと。最悪の場合は、腎不全や心筋梗塞、脳血管障害など生命に関わる重篤な症状を引き起こすこともあります。

(痛風の経過:図はお借りしました)

 

痛風の原因、尿酸はなぜ増える?

健康な人であれば尿酸の産生と排泄のバランスが取れていますが、これから示す5つの要因が引き金となって、産生と排泄のバランスが崩れると血中の尿酸が増えてしまいます。

まず、尿酸とはプリン体という物質が体内で分解されてできる燃えかすです。プリン体は細胞内にある核酸という物質の主成分です。細胞の老化とともに老廃物として蓄積されます。また、プリン体は運動したり臓器を動かしたりしても産生されます。

短距離走や激しい筋肉トレーニングなど短時間に大きな力を必要とする運動(無酸素運動)では、エネルギー代謝や新陳代謝が促されるため、プリン体が増え、結果的に血中の尿酸値が上昇してしまいます。

原因1. 肥満

肥満は体内でのプリン体の合成を促進し、尿酸の排泄機能を低下させてしまいます。肥満の原因になる砂糖を多く含む清涼飲料水の飲み過ぎや動物性食品の取り過ぎも、尿酸の増加につながっています。尿酸は体内で作られるものが全体の8割を占めています。食品のプリン体を気にするよりも、まずは尿酸を必要以上に産生しないために適正体重にすることが重要です。

 

原因2. 腎臓の機能低下

腎臓の機能が低下していると尿酸を正常に処理できなくなって、体内の尿酸が増えてしまいます。これらの臓器の機能は年齢とともに低下していきますし、高血圧や糖尿病、肥満も腎臓に負担をかけるので気を付けたいですね。水分補給をしっかりして、排尿を促してあげることも大切です。鍼灸治療で腎機能を高めるのも効果的です。

 

原因3. アルコールの取り過ぎ

アルコール飲料を飲むと体内で分解される際に尿酸が作られます。どのアルコール類でも代謝されるときに尿酸が作られ、尿酸の排泄を邪魔してしまいます。低プリン体やプリン体オフだから大丈夫!ではなく、アルコールを飲み過ぎないことが痛風の予防になります。←これは、マジで大事です。

 

原因4. プリン体の多い食物の取り過ぎ

レバーや白子、あん肝、魚の干物はプリン体が多いので食べ過ぎないようにしましょう。プリン体は水に溶けるので、肉や魚から取ったスープ(鶏がらスープなど)にも注意が必要です。ラーメンのスープは塩分、脂質はもちろん、プリン体も多く含まれています。高尿酸血症と診断されている方は、スープは残しましょう。

 

原因5. ストレスのため過ぎ

ストレスもまた腎臓の負担になり、尿酸を増やす要因の1つです。飲酒量や食事を改善しても尿酸値が下がらないときは、ストレスを疑いましょう。責任感が強く、弱音を吐かないタイプの方は要注意です。適度な運動や趣味など自分なりのストレス発散方法を見つけたり、一息ついてリラックスしたりする時間も大切にしましょう。

 

 

尿酸値を下げるための生活習慣 5選

 

対策1:肥満の解消

肥満の方(目安としてBMIが25以上)は、体内でプリン体を合成しやすく、尿酸の排泄機能が低下する傾向にあります。尿酸値が高め(9.0mg/dL以上)で肥満気味の方は、脂肪や糖分の摂りすぎに注意し、適切な体重(18.5 ≤ BMI < 25.0)に戻すことが重要です。

 

対策2:栄養バランスがとれた食事を規則正しく

尿酸値を下げるためには、プリン体を控えめにし、バランスのとれた食事を心がけましょう。また、尿酸値が高まると尿が酸性に傾きやすくなり、尿酸が排出されにくくなります。尿をアルカリ化する野菜やきのこ、海藻をしっかり摂るようにしましょう。

 

対策3:水分をしっかりと取る/お酒を飲むなら、和らぎ水を!

腎機能を高めるためにも、水分代謝を高めましょう。1日に1.5〜2Lを目標に水分を取りましょう。ポイントはこまめにチョコチョコ取ること。

お酒が好きで、どうしても呑みたいという方は、和らぎ水という飲み方がオススメ。これは、お酒を飲んだら、同量のお水を飲むという飲み方です。(チェイサー(追い水)のことですね)

例えば、日本酒1合(180ml)飲んだら、水をコップ一杯(180ml)飲むという感じです。ちなみに、焼酎やウイスキーの水割りという飲み方がありますが、和らぎ水と、水割りは違います。アルコールを含まない水分を飲むということが重要です。

 

対策4:適度な運動を心がける

尿酸値を下げるためには、軽めの有酸素運動を行いましょう。激しい動きによる無酸素運動は、新陳代謝を活発化し、尿酸値を高めてしまうため、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を定期的に行うことがおすすめです。

 

対策5:ストレスを溜め込まない

尿酸値を下げるためには、ストレスを溜め込まないこと。ストレス過多や脳を酷使する仕事をし過ぎると、尿酸値に悪影響を与えると言われています。

お気に入りの本を読んだり、音楽を聞いたり、自分がリラックスできる時間を作るようにしましょう。もちろん、鍼灸治療やパーソナルトレーニングを受けてリラックスするというのも選択肢の一つです。

 

まとめ

尿酸値が高くなると、様々な病気のリスクに繋がります。

健康診断などで尿酸値が高いことを指摘されたら、放置せず、自分の食生活や運動習慣を見直しましょう。医師に相談することも大切です。

また、体の水分代謝を整えるという観点では、鍼灸治療も選択肢の一つです。どうしたら良いか自分だけでは決められないという方は、ご相談ください。

最後に、生活習慣の改善は、痛風予防には欠かせません。

規則正しいバランスのとれた食事や軽めの運動、適度な休息をとり、リラックスすることを心がけましょう。

ちょっとした生活習慣の改善で、尿酸値を低下させることは可能です。自分だけで悩まず、出来ることからコツコツと始めましょう!

自分一人だけだと、続かないというなら、私と一緒に生活習慣を変えていきましょう。相談する人や、定期的に状態を報告する人がいると、案外簡単に尿酸値を下げる為の良い生活習慣が身につきますよ。

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。あなたが毎日を楽しく過ごすためのヒントになれば幸いです。

 

参考文献:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版(2019年改訂)

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