筋トレの原理・原則とは?自分に合った身体づくりの基本

「筋トレを始めたいけれど、どのくらいやればいいの?」「同じ運動を続けていていいのかな?」

そんなときに役立つのが、トレーニングの「原理・原則」です。少し難しく聞こえますが、身体の変化を知り、自分に合った進め方を考えるための基本です。

大切にしたいのは、目的に合った負荷をかけ、休みながら続け、その変化を日常の動きでも確かめること。

筋肉を大きくすることや、扱える重さを増やすことも目標の一つです。私は、その先にある「楽に動けて、やりたいことを楽しめる身体」まで含めて、身体づくりを考えたいと思っています。

「3原理・5原則」と「3原理・6原則」はどう違う?

原理は「身体が運動にどう応じるか」、原則は「それを踏まえてどう進めるか」と捉えると分かりやすくなります。

ただし、項目の数やまとめ方は資料によって異なります。厚生労働省のe-ヘルスネットでは「3原理・6原則」、厚生労働科学研究の一環で作成された研修テキスト・第7章では「3原理・5原則」と整理されています。

両資料では、3つの原理は共通しています。原則は、e-ヘルスネットでは「専門性」を独立させ、「反復性・周期性」を一つの項目として扱っています。ここでは、e-ヘルスネットの分類に沿って紹介します。数を覚えるより、自分の運動にどう生かすかを考えてみてください。

身体の変化を知る、3つの原理

過負荷の原理|今の身体に合った刺激を与える

筋力を高めるには、身体が慣れている負荷よりも、少し高い刺激が必要になります。「過負荷」という名前ですが、無理な重さに挑戦するという意味ではありません。

同じ運動でも、負担の大きさは人によって違います。体力が低い方や高齢の方が筋力・筋量の維持を目指す場合には、日常以上の負荷を必須としない考え方もあります。

特異性の原理|取り組んだ内容に応じて変わる

運動の効果は、使う筋肉や動き方、負荷のかけ方などに応じて現れます。歩くための持久力を高める運動と、物を持ち上げる筋力を高める運動では、取り組む内容が変わります。

「何となく鍛える」から一歩進めて、どんな場面で動きやすくなりたいのかを考えると、運動を選びやすくなります。

可逆性の原理|使う機会が減ると、変化も戻っていく

運動で高まった体力は、長く中断すると徐々に低下します。ただし、身体を休ませる日を設けることと、長期間運動をやめることは別です。

休んだ分を一度に取り戻そうとせず、その時点の体調や体力に合わせて再開しましょう。

自分に合った進め方を考える、6つの原則

意識性の原則|何のために行うかを理解する

運動の目的や内容、その意味を理解して取り組むことです。「旅行先を歩いて楽しみたい」「床から立つ動作を楽にしたい」など、自分の生活と結びつけてみましょう。

これは、運動中に使う筋肉へ注意を向けることと同じ意味ではありません。注意の向け方については、筋トレは筋肉を意識するほど効果が高い?本当に大切にしたい身体の使い方で詳しく紹介しています。

全面性の原則|身体全体と、体力のバランスを見る

一つの部位や筋力だけに偏らず、全身の筋肉、持久力、柔軟性などにも目を向ける考え方です。

筋トレに散歩を組み合わせるなど、生活に取り入れやすい方法を考えてみてください。

専門性の原則|目的に必要な力を育てる

目標に応じて、必要な体力を優先して高めます。ここでいう「専門性」は、競技選手だけの話ではありません。

例えば、買い物の荷物を持って歩きたいなら、荷物を支える力と、歩き続ける力の両方に目を向ける。全体のバランスを見ながら、自分の目的に必要な内容を選びます。

個別性の原則|人の回数を、そのまま自分の目標にしない

年齢や体力、運動経験、健康状態などに合わせて内容を決めます。同じ回数でも、軽く感じる人もいれば、大きな負担になる人もいます。

人と比べるより、今の自分に合っているかを確かめることが出発点です。

漸進性の原則|慣れてきたら、段階を踏んで見直す

「漸進性(ぜんしんせい)」は、体力の向上に合わせて少しずつ進めること。負荷の重さや回数、運動の難しさなどを段階的に調整します。

見直すときは、一度に全部を増やさず、一つの条件から調整すると、自分の反応を確かめやすくなります。疲労が強いときは、減らす判断も必要です。

反復性・周期性の原則|繰り返しと、計画的な区切りをつくる

一度だけ頑張るより、一定の期間、規則的に取り組むことが大切です。周期性は、年間などのまとまりで、目標の時期に合わせて内容を計画する考え方です。

日常の身体づくりなら、まずは生活の中で続けやすい曜日や時間を考えてみましょう。

ここまでが、原理・原則の基本です。生活場面への当てはめや調整の例は、これらを踏まえた提案として紹介しました。

休むことも、身体づくりの一部です

続けることが大切と聞くと、「毎日頑張らなくては」と思うかもしれません。筋トレでは、負荷をかけることと、回復のために休息日を設けることを一緒に考えます。

厚生労働省の「身体活動・運動ガイド2023」の情報シートでは、成人・高齢者の筋トレは週2〜3日が推奨されています。これは一般的な目安であり、全員が同じ内容・回数から始めるという意味ではありません。

運動中だけでなく、翌日の疲れや日常生活への影響も確認しましょう。負担が残るときは、量や間隔を見直してください。

鍛えた力を、日常の動きにつなげる

筋トレには、筋力や身体機能の改善が期待できます。一方で、立つ、歩く、物を運ぶといった動作には、その場面に合った身体の使い方も関わります。力をつける練習に加え、身につけたい動作そのものを、無理のない条件で繰り返す練習も考えたいところです。

そこで私は、筋トレの記録と一緒に、普段の動きも振り返ることを勧めたいと思います。

  • 椅子から立つとき、前より動き出しやすいか
  • 荷物を持つとき、肩や腕ばかりに力が入っていないか
  • 散歩や家事の後、疲れ方はどうか

重さや回数が増えたことと、動きが楽になったことは、分けて見ておきましょう。その日の「楽に感じた」という変化だけで、筋力がついたと判断することもできません。

全身をどう使うか、どんな練習を加えるかを考える手がかりとして、自分の感覚を記録してみてください。

筋トレと身体機能に関する出典:e-ヘルスネット「筋力トレーニングについて」。日常動作の観察は、目的に合う運動を考えるための提案です。

今日からは「目標・記録・見直し」の三つから

まずは「何ができると嬉しいか」を、一つ言葉にしてみましょう。「休日に出かけたとき、歩くことを楽しみたい」でも構いません。

次に、取り組んだ運動の内容と回数・負荷、そのときと翌日の体調を短く記録します。慣れてきたら、目標にした日常の動きも振り返り、続けるか、少し変えるかを考えます。

運動前には体調を確認し、軽く身体を動かしてから始め、筋トレ中は息を止めないようにしましょう。痛みやしびれが出る動作は中断してください。胸の痛み、めまい、普段と違う強い息切れなどが出た場合も中止し、医療機関に相談してください。持病や運動制限がある方は、始める前に主治医へ確認しましょう。

安全面の参考:e-ヘルスネット「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」、「筋力トレーニングについて」

身体づくりは、頑張った量だけを競うものではありません。自分に合った刺激を選び、休み、また動いてみる。その積み重ねを、毎日の楽しさへつなげていきたいですね。

あなたは、どんな動きが楽になると嬉しいですか。まずはそこから、自分に合った筋トレを考えてみましょう。

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